京都を舞台とした文学

高瀬舟(たかせぶね)

作者 森鴎外
年代 1916年(大正5年)1月、「中央公論」に発表

あらすじとゆかりの場所

京都の罪人を護送する高瀬舟に、弟殺しの喜助という男が乗せられた。護送役の同心・羽田庄兵衛は、喜助が晴れやかな顔をしている事を不審に思い、その訳を尋ねる。自分は重病だから自殺して兄を楽にしてやりたいと考えた喜助の弟は、自殺を図るが、刃がのどに刺さったままになり苦しんだ。家に戻り気づいた喜助は医者を呼ぼうとするが、弟が必死に抜いてくれと頼むのでしかたなく抜き、弟はついに死んでしまった。喜助は、遠島(えんとう)を申し渡された際に与えられた二百文をふところにした幸せをしみじみと話した。
鴎外は、江戸時代の随筆集「翁草」の中の「流人の話」をもとに書いている。財産についての観念と安楽死というふたつのテーマが含まれている。
現在、木屋町二条の高瀬川「一之舟入」跡(高瀬川の起点)には、高瀬舟が置かれ、往時を偲ばせている。

高瀬川「一之舟入」跡の写真
史跡名 木屋町通二条の高瀬川「一之舟入」跡
交通 地下鉄東西線 京都市役所前駅 徒歩5分

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