あらすじとゆかりの場所
孤峯庵の住職・北見慈海の友人であった画の大家・岸本南嶽が死去したが、その愛人であった里子が、北見慈海に囲われた。孤峯庵には、身寄りがなくもらわれてきた小坊主・慈念がいた。慈念は、里子に対し、嫉妬と母性思慕が混沌とした感情をいだき、やがて悲劇へとつながってゆく。 孤峯庵は架空のものであり存在しないが、『孤峯庵から、等持院の裏林に出て、東亜キネマの撮影所のわきから、白梅町に出た。北野天神をぬけて、上七軒を通ればすぐ千本今出川であった。慈念は背がひくいわりに、足が早かった』といった記載があり、この界隈を舞台としている。