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仏像の種別と役割

如来
(にょらい)
仏のうち、最高位の存在とされている。
如来の「如」は真理という意味で、真理を発見して覚り(さとり)をひらいた釈迦が、その真理の世界から来たという意味で「如来」と呼ばれている。 如来は当初は釈迦如来だけだったが、1世紀頃の大乗仏教の成立により多様な仏像が造られるようになり、さらに7世紀にインドで密教が起こると大日如来が造られるようになった。
覚り(さとり)を開いた釈迦をモデルにしているために、装飾品は身につけず、服装はシンブルな衣を身にまとっている。また髪の毛はラホツ(螺髪)という、パンチパーマのような如来独特の髪型をしている。(ただし清涼寺式釈迦如来は縄を編んだような頭髪となっている。また大日如来は宝冠を被っている。)
菩薩
(ぼさつ)
如来になることを目標に修行している仏が菩薩であるとされている。
菩薩とは「菩提薩た(ぼだいさつた)」の略で、悟り(菩提)を求めて、生きる者(薩た)という意味。菩薩は如来の命令に応じて、仏の慈悲の行いを実践することで衆生を救う。
古代インドの釈迦族の王子であった出家する前の釈迦をモデルにしているので、多くの菩薩は古代インドの王子のような衣装をまとい、頭には宝冠を被り、体には装飾品を身につけている。表情は女性的で微笑みをたたえたやさしい像が多い。
明王
(みょうおう)
明王は、元々古代インドのヒンズー教の神々であったが、大日如来を中心とする密教の教えに取り込まれた。大日如来の化身として、仏教の教えに従わない者を、調教、救済する仏とされている。
明王の「明」は、神秘的な力を持つ言葉や呪文(真言)を意味し、その力の最も絶大なるものを明王と言う。煩悩を断ち切れない人々を強い意志を持って救済するため、髪を逆立て忿怒の形相をしている。背中には煩悩を焼き尽くす火炎を背負っている像も多く、武器を持つなど勇ましい姿をしている。

(てん)
古代インドのバラモン教やヒンズー教などの神話に登場する様々な神々が、後発の仏教に取り込まれて、仏教の守護神とされたのが天である。
天とは「超人的な力を持った神」を意味する。明王が人々を救済することが役割であるのに対し、天は仏法を守護すること自体が役割である。
天の中には、毘沙門天のように勇ましい武人の姿の像や、弁財天のように貴族の女性の姿の像、 風神雷神のように自然現象を神格化した像など様々ある。